油圧クラッチマスターシリンダーの整備

こんばんは!店長の山口です。

今日は、意外に忘れがち、軽く見がちな 「油圧式クラッチ」の整備について!

中型以上のバイクに採用されることの多い「油圧式クラッチ」。
ワイヤータイプと違い、遊びも自動調整で、システムの油脂切れなどによる作動抵抗の変化が起きにくく、クラッチオイル(ブレーキフルードを使用が多い)さえ車検ごとに交換しておけばと、割とメンテナンスフリーに考えているお客様も多いのではないでしょうか?

今回は、4年ほど乗っていなかったバイクを、簡単なクラッチオイル交換だけを実施したあとに発生したトラブルの事例です。

クラッチオイルの交換後、しばらくお使いになられていたのですが、
だんだんクラッチレバーの遊びが無くなってきて、クラッチがつながるポイントもだんだん遠くなってきたそうです。

そして、最終的にはエンジン回転数が3000回転以上になった時、クラッチが滑り出し前に進んでくれない・・・

まずは、クラッチの状態の確認を・・・

DSCN0814.jpg
今回の患者様は、「2006年式 CBR1000RR」

こんなパワーのあるバイクで、クラッチが滑ると怖ろしいです・・・

分解したクラッチの部品を確認すると、
DSCN0802.jpg
あらら・・・
クラッチプレート(左)は、焦げ茶な虹色に・・・クラッチフェーシング(右)は焼けて炭化しかけ。

交換するしかないですね・・・

DSCN0803.jpg
新品はそれぞれ、こんな質感です。



んで、肝心の滑ってしまった原因は?

DSCN0818.jpg
クラッチレバーを触った瞬間、犯人は分かりました。こいつです!
クラッチマスターシリンダー。
油圧を発生させて、クラッチの作動を担う部品です。

はい!分解してみましょう。

DSCN0819.jpg
取り外した 「リザーブタンク」の下にある、穴二つ。
左が簡単に言えば、クラッチオイルを吸う所。
そして、茶色い異物に埋まったもうひとつが、簡単に言えば戻ってくるところ。

つまり、通常レバーを握った分オイルが吸われ、レバーを離したらオイルが戻ってくるのですが、このマスターシリンダーは戻ってくるところが異物で塞がれて、オイルが帰って来ない・・・

ということは、クラッチを切ると、レバーを戻してもエンジン側ではクラッチが切れたままになってるってこと。

厳密には、完全に塞がれているわけではないので、じわじわ戻ってくるのですが、走行中はクラッチを切るごとに悪化する状態。

何回かクラッチレバーを握ったり離したりを繰り返すと、突然正常になったりと、完全に油圧ラインに「異物」があっち行ったり、こっち来たりしてますね・・・


油圧クラッチのオイルには、ブレーキフルードを使用しているバイクが多いですが、皆さんブレーキに比べクラッチは割とメンテナンスを軽く見がちかな・・・?

実はブレーキに比べ、常にエンジン熱にさらされているクラッチの方が、フルードの傷みが早かったりします。

フルードが傷んでくると、色が茶色くなってきて、最終的にはペースト状の異物が発生して、今回のようなトラブルにつながることもあります。


今回は、マスターシリンダーのインナーキットの交換と、油圧ラインの異物を清掃することで改善しましたが、油圧ホース内に頑固にこびり付いた異物がまだ残っていたら、いつ剥がれてきて悪さをするか分からない状態でもあります。
(ホース内は目で普通に確認できないので・・・

対策は、フルードがペースト状になってしまう前に、油圧ラインのフルードをキレイに入れ替えること! です。

目安は、リザーブタンク内のフルードが新品は半透明、使いだすと黄色、そして茶色くなってきたな~ぐらいで交換をお勧めします!



<<注意喚起>>
車検の無い250ccクラスのバイクや原付バイクの油圧ブレーキのフルード交換は、特に忘れがちです!

当店では、点検2年ごとに車検のあるバイクと同様、お勧めしております~!


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